30代半ばの主婦です。

国際結婚して、欧州で妊娠・出産を経験しました。20代終わりに妊娠した際、それまではごく普通の食欲・好みだったのですが、つわりの影響か、がらりと変わってしまいました。とにかくお腹が減って仕方ない、しかも油っこいものが食べたくて仕方がなくなったのです。当時の食生活としては、昼食に大きく比重を摂って夜は軽めの和食中心、というスタイルでした。ですが、夕食をとった直後はなんともなくても、11時ごろに就寝して横になってからが恐怖なのです。お腹がすいて、食べ物の事しか考えられなくなり、悶々と眠れない時期が続いたのです。それが続いた後、今度は夕食にも物足りなさを感じ始めました。もっとがっつり脂っこいものが食べたい!と内心は切望していました。いつもと変わらず淡々と軽い夕食をとっている主人に、恐る恐るそのことを伝えたのです。「じゃあ明日、土曜日は君が食べたいように作りなさい」と言われました。

 

 

その週末、私はまず昼食にハンバーグを希望しました。大迫力サイズのバーグに、こってりとしたソースをつけました。付け合わせはフライドポテトです。昼食にボリュームのあるメニューを出すのはそれまでも珍しくはなかったので、主人は何も言いませんでした。そして夜、私は無性にオムライスが食べたくなったのです。日本のファミレスで出てくるような、いわゆる洋食屋さんスタイルの、食べがいのあるオムライスを苦心して作り上げ、笑顔ではい!と食卓に出したのです。3分の1も食べないうちに、主人はフォークを置きました。内心うはうはと喜び勇んで頬張っていた私は、急に氷を当てられた気になりました。「努力したけど、君にはつきあいきれない。こんな消化の悪いもの、食べられると思っているのか?自分の異常な食欲を、人に押し付けるな」そう言って食べかけの食卓を後に、居間に行ってしまったのです。一人残された私は泣きながら食べ続けましたが、もうおいしいとは思えませんでした。

 

この一件以来、妊娠中の私は何かを美味しく食べる、ということが出来なくなりました。つわりは吐き気に移行し、食欲は消え失せて、主人が食べるものをそのままコピーして無理やり自分も食べている、という状態になりました。特に脂っこいものに対する嫌悪感が高まり、和食の中でも粗食と呼ばれそうな類のものしか受け付けなくなってしまったのです。それでも、主人の厳しい監視のもと、無理にも食べ続けていたおかげで、非常に健康的な妊娠生活を送れましたし、体重の増加もゆるやかで安産となりました。数年たった現在では、「脂っこいものが苦手」という意識だけが残ってはいますが、食欲は通常なみに戻っています。子どもが生まれてからは特に、野菜中心の粗食生活になりましたが、おかげで妊娠前よりもずっと健康的な顔色で過ごせています。